国土交通省や国際観光振興機構(JNTO)は、国際会議の誘致、開催に対する自治体などへの支援活動を強化していく。国交省は今年度から、開催地の決定権者に向けて誘致主体が行う説明会を共催して支援する補助事業をスタート。JNTOは、国際会議の情報を集積したデータベースを6月にも開設し、地方自治体や各地のコンベンション・ビューロー向けに公開する。
政府は、2011年までに国際会議の日本での開催件数を5割以上増やし、アジアで最大の開催国となる目標を観光立国推進基本計画に掲げている。日本は、かつてアジア首位の位置にいたが、05年には、予算、人材を強化して誘致に努めた韓国、シンガポールに抜かれ、06年には中国にも追い抜かれた。国際競争は年々激化している。
国交省は今年度、新規事業で誘致活動の支援に乗り出す。自治体や企業、国内機関などが、開催地の決定権を持つ国際機関の本部などに対し行う説明会やレセプションの開催経費を補助。国交省が共催する形態をとり、経費の最大2分の1を負担する。
支援対象となる国際会議の基準は、国際機関、国際団体、国内団体、行政機関が主催する会議で、(1)参加人数50人以上(2)参加国数3カ国以上(3)開催期間1日以上──の条件をすべて満たすもの。このほか、誘致に“勝算”があること、関係省庁、自治体、企業の連携態勢が構築されていることなどが条件となる。
また、国交省は、国際会議の開催に合わせ、日本の観光魅力を発信するエクスカーションなどの観光・交流事業を行う場合、経費の3分の1を上限に国費で補助する制度も設けた。支援対象は、行政機関が主催する国際会議。
JNTOは、コンベンション誘致部を中心に、国交省と連携して支援事業を展開する。6月上旬〜中旬をめどに公開する国際会議のデータベースは、統計調査で蓄積した過去10年間、約2万5千件分の会議データを、開催年、月、都道府県、会議規模などのキーワードで検索できる。重要な会議の開催ローテーションの把握などが可能になる。
データベースは、ログインIDやパスワードを付与された地方自治体や各地のコンベンション・ビューローなどが閲覧できる。開催地が決定していない今後の国際会議についても情報提供を検討している。
このほかにも国交省やJNTOでは、所管大臣の招請状の発出、在外公館やJNTOの海外宣伝事務所などを通じた海外キーパーソンへの働きけ、コンサルティングなどの支援事業を引き続き展開していく。
地方自治体などの誘致主体が、国の支援を必要とする場合は、JNTOのウェブサイトにある「支援要請フォーム」を利用して問い合わせることもできるようにした。
誘致推進で会合 自治体など参加 国交省
国土交通省は21日、国際会議誘致重点会議を開催した。地方自治体や各地のコンベンション・ビューローなど約165人が出席。国交省やJNTOの支援策を説明したほか、横浜市の野田由美子副市長、ちば国際コンベンションビューローの東條秀彦・市場調査課長、が国際会議の誘致、開催の現状をテーマに講演した。
会議冒頭のあいさつで本保芳明・総合観光政策審議官は「国際競争は激化し、競争相手のシンガポール、韓国などは資金力も豊かだが、日本が観光魅力などで劣っているとは思わない。国際会議の誘致は、政策以上にビジネスのセンスが必要だ。情報を共有し戦略的に取り組みたい」とあいさつした。